映画『シン・ウルトラマン』の主題歌として注目されている、米津玄師さんが書き下ろした『M八七』という楽曲!
ふっと気になったのですが、ウルトラマンと言えば、M78星雲からやってきたという設定でお馴染みですが、タイトルはその逆の『M87』ですよね。
これには、一体どんな意味が隠されているんでしょうか?
そこで今回は、主題歌の『M八七』の秘密に迫ってみました。
『M87』の意味は?なぜM78(星雲)ではない?
ウルトラマン描きました。M八七よろしくお願いします。 pic.twitter.com/nOpmE1dwBZ
— 米津玄師 ハチ (@hachi_08) April 22, 2022
ウルトラマンが初めて現代の日本に現れた世界を描くシン・ウルトラマン。
楽曲のタイトルには、深い意味がありました。
映画の主題歌のオファーをもらった米津玄師さんは、当初はウルトラマンの故郷であるM78星雲から引用して『M七八』(78)というタイトルにしようと思いましたが、庵野秀明監督に相談したら、こんなアドバイスをもらいました。
庵野監督によると、そもそも1966年に放送された初代ウルトラマンは、企画段階では「M87」だったそうなのです。
それが台本への誤植によって、7と8の数字が入れ替わって「M78星雲」となり、現在に至ります。
本当なら、M87が光の国で正解だったとは…これには驚きました!
そこで米津玄師さんは字面のかっこ良さもあり、『M八七』(87)という曲タイトルに決めたのだとか。
映画の主題歌を作るにあたって、初代ウルトラマンの曲を再構築する選択肢もあありましたが、それはおもねりになりそうだと感じたそうです。
※『おもねり』とは…人の気に入るように振る舞うこと。へつらうこと。
初代ウルトラマンのテーマソングをある種オマージュするような形にしようと考えたこともありましたが、自分が呼ばれた理由は、現代の大衆音楽を作る人間であるということが重要なポイントではないかと思ったので、そことは違う全く新しい音楽を作るべきだなと思い、ああいう形になりました。
引用:2022年5月18日掲載*Yahoo!ニュースオリジナル特集「自由ってそんないいもんじゃない」
自分の役目としては、『シン・ウルトラマン』と、初代ウルトラマンがちょうどよく重なる部分はどこにあるのか探していくことが大事だと感じたそうです。
歴史ある作品の制作に携わることと、自分に求められている役割との擦り合わせも必要になってくるものなのですね。
そんな米津玄師さんですが、幼稚園児の頃はウルトラマンの名前が全部言えるくらい好きだったそうですよ。
『シン・ウルトラマン』では、初代ウルトラマンを思わせる演出が戻って来てます。
ウルトラマンと言えば、全身タイツに胸元のカラータイマーが定番の姿ですが、今回のシン・ウルトラマンではカラータイマーがないのです。
そもそもなぜカラータイマーが付いていたのかと言うと、カラータイマーが付いていないとウルトラマンが永遠に怪獣と戦うことになるので、特撮の撮影はお金がかかるから、なるべく早く倒して欲しいという大人の事情があったからだと言います。笑
でもカラータイマーがなくなった分、「今までにない戦いが思いっきりやれるようになった」と監督が語っていました。
今回のシン・ウルトラマンでは、主題歌にも初代を思わせる制作秘話が隠れていたのですね。
『M八七』(M87)の歌詞は?米津玄師さんのインタビューから解釈!
遥か空の星が ひどく輝いて見えたから
僕は震えながら その光を追いかけた割れた鏡の中 いつかの自分を見つめていた
強くなりたかった 何もかもに憧れていた君は風に吹かれて 翻る帽子見上げ
長く短い旅をゆく
遠い日の面影君が望むなら それは強く応えてくれるのだ
今は全てに恐れるな
痛みを知る ただ一人であれ…
引用:M八七Ⓒ米津玄師
Zipのインタビューによると、米津玄師さん自身が手掛けた『パプリカ』の曲を例に挙げて、シン・ウルトラマンの『M87』について語りました。
パプリカのメンバーである、もえのさん、ひゅうがくん、たけるくん、りりこさん、ちせさんの5人は元気いっぱい歌って踊って表現してくれましたが、大人になる頃にはその思い出の8割くらいは忘れちゃうんじゃないかと話してました。
たしかに子どもの頃の記憶って、その出来事や感情なんかは一部分しか覚えていないですね。
写真を見ると当時を思い出すけど、本当に人の記憶って儚いものです。
パプリカの子ども達が歌って踊ってくれたけど、メンバー全員がその事実を覚えてるかと言えば、8割くらいは忘れちゃうんじゃないかと米津玄師さんは感じるそうです。
しかし、今までの歌って踊った経験が土台となって、さらにその上に色々な経験が折り重なっていっていき、それが人間性へと昇華していきます。
米津玄師さん自身も、幼稚園の頃に大好きだったウルトラマンの事はすっかり忘れていましたが、今回シン・ウルトラマンの主題歌のオファーを受けて、自分の人生に影響を受けていたことを認識させられました。
自分自身のさまざまな経験から、新しい人生が生み出されていく連鎖を、M87の歌に載せて伝えたいのだと語っていました。
ここ1、2年は自宅で映画を見続ける毎日だったという米津玄師さんは、自分の中のウルトラマンの存在について描いたのがM八七なのかなと思います。