ジブリ映画『君たちはどう生きるか』は、主人公の牧眞人が母の死を乗り越える物語です。
眞人がアオサギに連れられて下の世界(異世界)に降り立つと、海に浮かぶ島にいました。
そこには石垣に囲まれたお墓があったのですが、これは一体誰の墓なのでしょうか?
墓の門に『我ヲ學ブ者ハ死ス』と刻まれていたのも気になりました。
そこで今回は、墓に祀られていたのは誰なのか、墓の門の不思議な言葉の意味を考察しました。
目次
映画『君たちはどう生きるか』墓の門とは?
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— スタジオジブリ STUDIO GHIBLI (@JP_GHIBLI) July 13, 2023
眞人が「ナツコさんの居場所を教えろ」と言って、アオサギに連れて来られたのが下の世界(異世界)でした。
眞人が目を覚ますと、そこには海に浮かぶ島がありました。
その島には大きな石垣の門があって「我ヲ學ブ者ハ死ス」(我を学ぶ者は死す)と刻まれていました。
キリコはここを「墓の門」と呼んでいましたよね。
急にペリカンの大群に襲われた眞人は門を少し開けてしまいましたが、若い頃のキリコに助けられました。
墓の門が少し開いてしまったことや、騒音を立ててしまったため、その場はすぐに撤退した方が良いとキリコは判断したようです。
眞人に「そのまま下がれ。後ろを見るな」「墓の主が起きるぞ」と叫んでました。
キリコは「なんでこの門を開けたんだ?」と厳しく問い詰めていましたね。
こうした様子から、
- 墓の門は開けてはいけない
- 墓の主が起きると大変なことになる
- ペリカンは墓の主の仲間(?)
墓場は危険な場所で近づいてはいけないのが分かります。
映画『君たちはどう生きるか』墓の主の正体は誰?
映画の流れから、墓の主は誰なのか考察しました。
現時点で考えられるのが…
- 上の世界で亡くなった人(魂)
- 大叔父
このどちらかの墓であると考えられそうです。
それぞれ見ていきたい思います。
墓の主は『上の世界で亡くなった人の魂』?
眞人が降り立った下の世界は「全部幻で、この世界は死んでる人の方が多い」とキリコが言ってました。
眞人のように迷い込む人もいるからなのか、全員が亡くなっているわけではないようです。
つまり下の世界は「あの世」に近い場所だと言えそうですね。
眞人もこの世界に入り込んだせいなのか、キリコに「死の臭いがプンプンしてる」みたいなことを言われてました。
そもそも異世界で暮らす人は死の世界に近いということでしょうか?
眞人がすれ違った船には透明人間が乗っていて、魚が上がったので買い出しに来ていました。
下の世界の人たちは殺生ができないのでキリコが魚を獲って、住民の暮らしを助けているようでした。
実際に、下の世界で暮らす白い妖精『わらわら』の正体は、人間になる前の魂でした。
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キリコによると、”わらわらは滋養をつけて人間になる準備をしている”と話してましたよね。
その人物は上の世界か下の世界のどちらかでしか存在できないようで、眞人が下の世界に迷い込んだあとは上の世界では行方不明になっていました。
お父さんと家政婦がお屋敷の周辺をまわって眞人を大探ししてましたね。
異世界ですれ違った透明人間は亡くなる直前の人か、亡くなった人という解釈ができるのかも?
そうなると、あの墓場は上の世界で亡くなった人達のお墓なのかもしれません。
眞人がペリカンに襲われたときに墓の門が開きかけました。
そこで誰の声なのか「行こう…行こう…いこう…」とつぶやく声が聴こえました。
つまり眞人は死の世界に誘われたと考えられるかもしれません。
眞人がペリカンによって墓の門に押されて、キリコに助けられたシーンは、お墓のエリアに入ってしまうと眞人にも死の危険が及ぶからという解釈ができるのかも?
墓の主は大叔父?『我を學ブ者ハ死ス』の意味と関係あり?
もう一つは、墓の主は大叔父ではないかという説です。
墓所が石垣にがっちりガードされているところを見ると、何かしら大物や偉人の墓であるような気もします。
眞人が場所から立ち去るときにキリコに「後ろは見るな」「墓の主が起きるぞ」と言われ、物音を立てないようにその場をあとにしてました。
墓の主が目を覚ますとマズいことが起きてしまう…そんな予感がするシーンです。
話の流れからすると、墓所は塔の創造主である大叔父が眠る墓なのかもしれません。
現実世界で亡くなった大叔父は塔の主となり、この世界で大きな影響力を持つようになった。
そのため大叔父は下の世界の特別な墓所に埋葬されているのかもしれないです。
墓の主が起きると、死の世界に引きずり込まれる…みたいな危険が待っているようにも感じられました。
もしくは過去に門が開いて、大叔父が蘇って大変なことになったので墓に封じ込められているとか、何かしらやっかいな目に遭いそうな雰囲気が感じられます。
物語の最後で、大叔父は塔の後継者として眞人を指名して「自分の役目を継いで欲しい」と伝えましたが、眞人は自分は傷に悪意を持っているからその石は触れないと継承を断っていました。
「我を学ぶ者は死す」のメッセージを守らなかったので眞人は助かった。とも考えられそうですね。
大叔父のモデルは高畑勲監督?
こちらは余談になりますが、映画『君たちはどう生きるか』は、実在の人物がモデルになっていることもあって、墓の主にもモデルがいるのではないかという考察がありました。
『君たちはどう生きるか』の「下の世界」がスタジオジブリやアニメ業界のメタファーだとしたら、マヒト=宮﨑駿、アオサギ=鈴木敏夫、大おじ=高畑勲、ナツコ=宮﨑監督の母親の生まれ変わり、みたいな読みが可能なのか。では、あの石墓に祀られてたのは、どう考えても宮﨑監督の父親だということに。
— 倉沢 繭樹 (@mayuqix) July 15, 2023
ジブリのインタビューにて鈴木敏夫さんが、主人公・眞人は宮﨑駿監督、アオサギのモデルは鈴木敏夫さんだと明かしていました。
映画『君たちはどう生きるか』は、冒頭で眞人が空襲を受けて疎開する話が描かれていますが、宮崎駿監督が幼少期に空襲に遭って栃木県に疎開した体験談がそのまま語られているのです。
そうしたことから、眞人の継母・ナツコは宮﨑駿監督の母親・宮﨑美子さんがモデルになっているのではないかというのです。
実際に宮崎駿監督のお母さんは病気がちで病床に伏せていることが多かったそうですよ。
さらにジブリファンの間では、異世界の創造主である大叔父は高畑勲監督だという考察が主流になってきてます。
その理由として、高畑勲監督は東映時代の宮崎駿監督の先輩でした。
良い作品を作ることがすべての作品至上主義者で、その他のことには配慮しない人だったそうです。
そのため人の人生を変えてしまったり、ときには恨まれることもあったとのこと。
『君たちはどう生きるか』の大叔父は、眞人を下の世界へ連れて来るように命令したり、勝手に眞人を後継者に指名したりと自由奔放な人物ですよね。
そんな一面が似てるという声もありました。
まとめ
- 話の流れ的に、墓の主は上の世界で亡くなった人(魂)or 大叔父自身の可能性がありそう。
- 墓の門は危険な場所のようで、墓の門は開けてはいけない、墓の主が起きると大変なことになるため警戒されている。
- ペリカンは墓の主の仲間のようで(?)、眞人を襲って墓の門を開けさせようとするシーンが見られた。